ミシンの縫い目、ステッチの種類が多いというのは
ミシンのセールスポイントとしてよく言われるポイントです。
特に最近のコンピューターミシンは
30パターン搭載!40パターン搭載!
というものが多く、種類が多すぎて「本当に必要?」と思われるかと思います。
ここでは初心者でもできるリメイクや、基本的な服作りによく使う”必須の縫い目”と
“あると便利”、でもなくても服作りには支障はない縫い目に分けてご紹介します。
どの種類の縫い目を何に使うのか具体的に分かれば、あなたに必要なミシンのスペックもはっきりしてきますよ。
ミシン選びの参考にしてみてください。
ミシンの選び方はこちらもチェック
初心者リメイク服に必須の縫い目、5種類。
この項目にあるミシンの縫い目は
今販売されているコンピューターミシンには必ずついていると言っても良い、基本的な縫い目です。
この5種類さえあれば
このブログで紹介しているような、初心者さんでもできるリメイクはできちゃいます。
種類はクリアしていても快適に縫えるかどうかは別です。
ちなみに洋服をリメイクしたい、ミシンで服作りをしたいなら
大きく安定感のあるコンピューターミシンがおすすめですよ。
「なぜコンパクトミシンではダメなの?」にお答えする
安いミシンの失敗談はこちら。
直線縫い
ただ”縫う”という指示の箇所は基本的に直線縫い。
ミシンの縫い目が見える位置にも使える。
仮縫いとやギャザー寄せなど後でほどく前提で縫う場合もある。
直線縫いの特徴とコツ
まっすぐ縫うというミシンの基本の縫い方です。
ですが一目の長さや針が落ちる位置を
細かく微調整できるコンピューターミシンならその用途は無限大です。
一目の長さとは、ひと針降りてから次のひと針までの長さで
通常1.5mm〜2mm程度で縫う事が多いです。
デザインとして表に縫い目を見せる場合も、このくらいが一番美しく見せる事ができるかと思います。
これより大きな幅の3mm程度にして”仮縫い”や”ギャザー寄せ”に使うこともあります。
解くことを前提とした縫い目です。
特にギャザー寄せは、上糸のみ引くことで
手縫いでは再現できない綺麗に揃った細かいギャザーを寄せる事ができますよ。
基本の縫い合わせ(地縫い)やデザインとしてのステッチでは、直線の綺麗さが鍵です。
ミシンでは針の落ちる位置には左右にガイド線が彫られていますよね。
ガイドに布端を合わせることによって
針の落ちる位置から布端までの長さを一定に保つ事ができます。
そのため、縫い代は一定の幅で取っておくことをおすすめします。
きちんと縫い代が取れていると、出来上がり線ではなく布端を見ながら縫う事ができ、とてもスムーズに縫えます。
縫い代はヌイシロライナーで取るとカーブの部分も均一に縫い代を取る事ができますよ。
布端を見ながら縫うのが難しいなら物理的に壁を作ってしまうのがおすすめです。
マグネットガイドを取り付けてから縫うと布端がぶつかり、自然に均一な幅で縫う事ができますよ。
ジグザグ縫い
端のほつれ止めとしてほとんどの生地に使える万能な縫い目。
布同士をはぎ合わせる、膨らみを抑えるという使い方や飾りとしても使える。
ジグザグ縫いの特徴とコツ
ジグザグ縫いは針が左右に動きながら縫うステッチです。
布端に来た糸が次の一目ではすぐに布の内側に入るので、端を包むような形になります。
このためほつれ止めとして使えるのです。
端処理として使う場合、布端側は生地からはみ出るもしくは布端から一目だけ入ったところに針が入るようにするのがコツです。
縫い目の幅と針の振り幅の調節が無段階なミシンだと、ほつれやすさに合わせて調節できておすすめです。
無段階調節ができるミシンなら
家庭用コンピューターミシンでも縁かがり縫いのような縫い方をすることができます。
この写真は子供のお弁当を包む用の小風呂敷ですが、このような幅の狭い、目と目の間が細かいジグザグ縫いを利用して縁かがり縫いのように仕上げました。
三つ折りにせずに仕上げると、子供の力でもむすぶことができますね。
他にも好きな生地の縁を細かく縫うと、オリジナルのワッペンを作ることもできます。
またそのワッペンを服やカバンに縫い付ける時には、生地の上にワッペンを置き直接周りをジグザグ縫いすることで、簡単に縫い付けられます。
そのジグザグ縫いもデザインになって、可愛く仕上がりますよ。
直線縫いで縫い合わせた生地の縫い代の処理には、片側に倒す方法と縫い代を割る方法があります。
縫い代を割ると強度が不安になります。
このような場合、2枚の生地の間をはぎ合わせるようにジグザグ縫いすると補強になります。
ワンポイントにもなるのであえて目立つ色の糸でジグザグ縫いをしてもいいかもしれませんね。
縫い目が線ではなく面になるので、生地の膨らみを抑えることもできます。
カジュアルな服なら機能的に必要ない場所でもワンポイントとしてジグザグ縫いをかけるのもおすすめです。
三段縫い
股の部分など特に丈夫にしたいところに使う。
意外にも伸びる生地にも使え、ニット用ミシン糸と合わせると1.5倍ほど伸びる縫い目ができる。
飾りとしても使える。
三段縫いの特徴とコツ
三段縫いは一縫いで3回縫ったような縫い目が出来上がります。
ズボンの股部分など特に力が入る場所によく使われています。
1箇所に3本の糸の力があるので、破れにくい丈夫な仕上がりになります。
丈夫になるという特徴の一方
伸びる生地を縫う時にも使えるという意外な特徴もあるんです。
1目ごとに隙間があり、レジロン糸のようなニット用ミシン糸を使うことで最大で1.5倍程度の伸縮に耐えられます。
一目に3本の糸があり縫い目が強調されるので、デザインとして直線縫いを見せたい時にあえて使うこともできます。
伸縮地縫い
伸びる生地を縫う場合の直線縫い的な位置づけ。
肌着のように特に伸びる部分に使える。
伸縮地縫いの特徴とコツ
“3歩進んで2歩下がる”のようなジグザグを寝かせたような縫い目になるのが特徴です。
このジグザグが開くように広がるので、伸びる生地にも対応する事ができます。
市販のTシャツに後から飾り付けをするなど
脱ぎ着にあまり干渉しない部分であれば、通常のミシン糸でも問題なく縫い止める事ができます。
ただしショーツのような特に伸縮性が必要なものには、ニット用ミシン糸が必要です。
ボタンホール縫い
ボタンで脱ぎ着する服には必須の縫い目。
縁かがり縫いの代わりとしても使える。
ボタンホール縫いの特徴とコツ
ボタンを使うなら必須の縫い目です。
ボタンホール縫いの動きは細かいジグザグ縫いなのですが
専用の抑えにボタンをセットするとそのボタンの直径に合わせたボタンホールに仕上げてくれます。
ボタンホールって
穴の左右は幅の狭いジグザグを縦に連続して
穴の上下は幅の広いジグザグで左右の縫い目を繋ぐようにと
細かく見ると縫い方が変わっているんです。
この縫い方の差を別々のスイッチを手動で切り替えるミシンと
1度スタートボタンを押すと左→上→右→下と自動で縫い進めてくれるものがあります。
どちらでも見た目では分からないくらい綺麗に仕上がりますが
1回の方がわかりやすいし楽ですよね?こちらがおすすめです。
肝心の穴はボタンホール縫いをしてから左右の縫い目の間をリッパーで切って開けます。
あとから開けるって初めて知った時はちょっとびっくりですよね。
リッパーはザーっと上まで切れてしまうので、切る部分の1番上に閂のようにまち針を刺しておくのがおすすめです。
応用として普通抑えで長くぬい、終わったあと端を切って縁かがりのようにも使えます。
ジグザグ縫いでもできることですが
幅や縫い目の細かさが思い通りにならない場合はボタンホール縫いで代用できます。
ただしボタンホールの場合は布の進む方向が逆になるので注意してください。
あると便利な縫い目、4種類。
最近のコンピューターミシンには2~30種類の縫い目がついていることが多いですよね。
なんと50種類もついているモデルも発見しました。
ほとんどの作業は上でご紹介した5種類で出来てしまうので
全てをまんべんなく使うという人はなかなかいないと思います。
でもいくつかはあると便利な縫い目もあるんですよ。
ここでは、あると仕上がりに差がつく!便利な縫い目4種類をご紹介します。
伸縮ジグザグ縫い
伸縮する生地や薄い生地の端処理。
特徴とコツ
その名の通り伸縮する生地に使うジグザグ縫いです。
普通のジグザグ縫いの一目を3分割したように分かれた縫い目なので
その隙間が生地の伸び縮みに合わせて動いてくれます。
さらに通常のジグザグ縫いではクシャッとなってしまいやすい
薄手の生地にも使うことができるんです。
一目が小さいので生地送りや針の抜き差しに巻き込まれることなく、確実に縫い進めてくれますよ。
また、伸縮しながら面を縫うことができるので
袖のワンポイントでゴムを直接縫い付けてギャザーを寄せるといった
生地に直接ゴムを縫い付ける時にも使うことができる縫い目です。
まつり縫い
スラックスや制服のスカートなどきちんとした服の裾処理。
特徴とコツ
端処理をする時に縫い目を見せたくない
スラックスや制服のスカートなどフォーマルな服の端処理に使います。
裏に折り返した方の生地に直線縫いをしながら、数目に1回一目だけ表地に糸を通すことで
ほとんど表から見えないまま生地を固定することができます。
手縫いで行うことも多い縫い方ですが、ミシンでできるなら早く仕上がりますよね。
一目だけすくうというのが結構難しいので、使う時は1番遅い速度で
すくう時の針の位置を試し縫いであらかじめ確認してからにするといいですね。
オーバーロック縫い
裁断箇所のすぐ横を縫いたい時に、直線縫いとジグザグ縫いを同時にかけられる
特徴とコツ
直線縫いをしながら同時にジグザグ縫いをして縁かがりができる縫い目です。
一気に2回分のミシンがけができるので時間の短縮にもなります。
図書館にあるような裁縫の本では1cm程度の縫い代を取ることが多いのですが、
オーバーロック縫いの場合は直線縫いの縫い目から布端までが、5mm程度と少し小さくなります。
オーバーロック縫いで縫う予定の場所は
あらかじめ直線縫いの場所からジグザグ縫いの端までが何mmあるのか試し縫いし
その幅ピッタリで縫い代をとって生地をカットする必要がありますね。
直線縫いのラインとジグザグ縫いの端のラインの間に生地押さえがついている
専用の押さえがついているコンピューターミシンが多いです。
指定通りの押さえを使うことで端が丸まることもなくスムーズに縫い進められます。
パッチワーク縫い
生地と生地をはぎ合わせるとき
ナチュラル系のお洋服には模様として使う
必ず本番と同じ生地で試し縫いをすること
特徴とコツ
数十種類というステッチのほとんどは、パッチワーク縫いや飾り縫いであることが多いです。
ナチュラル系のお洋服にはこうした飾り縫いがとても似合います。
帆布やインド綿のバックなど小物ならもっと気軽に取り入れることができますね。
縫った後にギリギリをカットするとまるでレースのような仕上がりにもなります。
機能的な飾り縫いとしてはパッチワーク縫いがあります。
その名の通りパッチワークで生地をはぎ合わせる時
あえて表から見えるようにステッチを使ってはぎ合わせる縫い目です。
浴衣の身頃と袖の間が
レースのように少し隙間が空いたデザインになってることがありますよね。
こうした印象的なデザインに挑戦することもできますよ。
私はベルト状のパーツを自分で作る時に使っています。
こちらは水筒入れの肩紐なのですが
こうした細くて長いものを縫って表に返すのはとても難しいですよね。
それにアジャスターを使って長さ調節をしたかったので、縫い代は絶対に割ってベルトの真ん中に来るようにしたかったんです。
なのでこのように最初から出来上がりの通りにアイロンで折り目をつけ
その布端同士をはぎ合わせるようにパッチワーク縫いをかけました。
飾り縫いやパッチワーク縫いのコツは、必ず本番と同じ布で試し縫いをすることです。
同じ設定のつもりでも生地によって模様の出方が変わってきますし
縫い目の幅が無段階調節のツマミの場合、ほんのちょっと触れただけで縫い目が変わってしまうこともあります。
生地に無数の穴が空く縫い目です。
きちんと理想の縫い目を作ってから本番の生地を縫うことが大切ですね。
ミシンの縫い目の種類と用途、まとめ
今回はミシンの縫い目、ステッチの種類の中でも
”よく使う縫い目”と”あったら便利な縫い目”について紹介しました。
よく使うのは数種類ですが
少し慣れてくるといろんなステッチを試したくなると思います。
ブログで紹介している作業工程の説明からこちらにジャンプできるようになっています。
?と思うステッチが出てきたらまたこちらのページに戻ってきてくださいね。
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