かけ方が難しいミシンの上糸、優しい解説。適度な圧をキープ!がポイントです。

道具とコツ

あっちに行ったりこっちに行ったり、登って降りて・・・

ミシンの上糸のかけ方がなぜこんなに複雑になっているのか、想像したことはありますか?

「なんかこう難しいこと考えず、スッて直角に下ろしてダイレクトに貼りに通せば良くない?」

と思っちゃいますが実はこの複雑な上糸のかけ方、糸の適度な圧をキープする意味のある通り道なんです。

最近の家庭用コンピューターミシンでは、上糸のかけ方がミシン本体に直接印字されています。

なので「こんなの簡単!」と思ってしまいがちですが

ちょっとしたポイントに気をつければ、縫ってる最中のトラブルを防ぐことができるんです。

この記事では家庭用ミシンの上糸のかけ方の基本

中でもトラブルに繋がりやすい実は重要なチェックポイントについて解説します。

いけだゆみ
いけだゆみ

家庭科レベルで簡単リメイク服では

おうちにある家庭用コンピューターミシン(手縫いのみのリメイクもあり)

・小学校の時に揃えた裁縫セット  でできる

本当に着られる”家庭科レベル”のリメイク服の作り方や洋服のお直し方法をご紹介しています。

必要最低限の裁縫セットとは>>>

↓下糸の巻き方もじっくり解説↓
↓糸調子の合わせ方も確認しておくと上糸かけの大切さがわかります↓

家庭用ミシン、上糸のかけ方①糸立て棒にセットする

↓工業用の大きなミシン糸を使用する場合、まずはこちらをチェック↓

意外と忘れがち!押さえをあげる。電源をきる。

まず、不意に電源ボタンやフットコントローラーを押してしまった際の事故を防ぐため

上糸をかける時などミシンのセッティング時は、ミシンの電源を切りましょう。

そして意外と忘れがちなのが”押さえを上げておく”ということです。

ミシンは押さえをあげることで上糸が通る道が開く構造になっています。

閉じたままでは適切な通り道に糸が入らず、そこでかかるべきテンションがかかりません。

順番通りに糸を通せばとりあえずはゴールの針まで来れてしまうので見落としがちですが

家庭用ミシンで上糸をかけるときには、押さえは必ず上げておくようにしましょう。

逆に押さえを下げないと

糸はノンストレスで通り抜けてしまうので何も圧がかからず適切な糸調子になりません。

当たり前ですが、縫うときには押さえをおろしてくださいね。

ちなみにミシンを使い終わってしまっておくときは逆に、押さえを下げて保管しておくのがおすすめです。

押さえを上げた状態というのはバネを抑え込んでいるような状態なので

その状態で保管してしまうとミシンに負荷がかかります。

最悪の場合、次に縫うときに押さえが布を抑える力が弱くなってしまうこともあります。

糸巻きの切れ目に注意!糸コマ押さえも大切。

手芸屋さんにいけば必ずあるこのミシン糸、糸巻きには巻き終わりを留めておく切れ目が入っています。

この切れ目が糸の進む方向にあるとどうなるかわかりますか?

縫うスピードに合わせてどんどん解けて出ていくので、このように引っかかってしまうこともあるんです。

このタイプのミシン糸を使用するときは、この切れ目を”糸の進む方向と逆側”に向けておきましょう。

ちなみに

こちらのX(旧Twitter)の通り

ミシン糸の大手メーカーフジックスの”シャッペスパンミシン糸”では

現在販売されている商品ではこの切れ目がなくなり

糸巻きの両端が曲がるストローのような構造に改良されています。

このタイプのミシン糸の場合は糸巻きの左右を気にすることなくミシンにセットすることができます。

ただ店舗の在庫によっては”つい最近まで改良前のタイプを販売していた”って事もあるので

「ちょっと前に購入した」

「随分前からウチに置いてある」

というミシン糸を使う時は、念の為切れ目の有無を確認してから使うようにしましょう。

また、家庭用ミシンを購入するとセットになっているこの糸コマ押さえも必ず使うようにしましょう。

糸巻きの大きさによっては使わなくても糸巻きが飛び出すことなく普通に使えてしまうので

私も昔はあまり使わず、むしろ最初に購入したミシンでは無くしてしまったくらいなのですが・・・汗

実は意外としっかり仕事をしてくれるパーツなんです。

家庭用ミシンでも機種によってこの糸コマ押さえの形は異なりますが

このように太い方と細い方がある場合、糸巻きの大きさによってつける向きを変えることができます。

小さい糸巻きの場合は細い方を糸巻きにくっつけるように設置すると

適切な角度で上糸の通り道に入ることができます。

逆に大きな糸巻きの場合は太い方をくっつけて設置し、糸巻きのガタつきを抑えます。

また特に家庭用ミシンで伸びるニット生地を縫う際に使用する、レジロン糸でよく起こるのですが

切れ目から糸を外しただけでパラパラとほどけてきてしまい

その糸が上糸立ての棒に巻き付いてしまうことがあります。

この細い棒に糸が巻き付いてしまうと、たった数巻きでもここで上糸がストップしてしまいます。

糸コマ押さえが糸巻きにピタッと密着していることで

上糸立て棒に糸が絡まることなく、直接上糸の通り道に入っていくことができます。

家庭用ミシン、上糸のかけ方②糸の張り具合に注意

糸のテンションは糸調子に影響あり

手縫いの針と糸でもいいのでちょっと想像してみてください。

糸の後ろの方が何の支えもなくバタバタ動いてしまう状態と

少し引っ張りながら進むのと、どちらが引っ掛かる事なくスムーズに生地を通り抜けると思いますか?

答えは後者です。

構造はかなり違いますが、ミシンも一定の引っ張る力〜テンション〜があったほうがスムーズに縫えます。

ミシンはとても繊細な機械です。

設計時に想定された適切なテンションで糸が通った場合にのみ、適切な縫い目で仕上げることができます。

この想定されたテンションをしっかり再現するために、”手順通りの正しい掛け方”をする必要があるのです。

テンションディスクにしっかりはめ込む

手順通りの正しい掛け方を実現するためには

まずミシンに印字された通りの順番で糸をかけていくことが大切です。

でもそれだけではなく忘れがちな大事なポイントがあるんです。

それは、この”テンションディスク”というパーツにしっかり糸をはめ込んで進むことです。

上のボタンのようなボッチと下の金属板の間にしっかりと糸をはめ込むことで

糸を軽く摘んで引っ張っているような状態になり、適切なテンションを再現することができるのです。

説明のため、同じミシンの別の部分にある同様の仕組みの別パーツの写真で解説しています。

最初はなかなかわかりにくいかと思うので

糸をはめたり外したりしてどのくらいの感覚でしっかり入るのかを確認してみてください。

慣れればわざわざ覗き込まなくても、指先の感覚でしっかりはまったことがわかるようになります。

かかったつもりがかかってない・・・天秤にも注意

もう一つ重要なパーツがこの”天秤”と呼ばれる部分です。

上糸はこの先一旦下糸がある水平がまの中に入り、そこからまた引き上げられて縫い目が作られるのですが

この”引き上げる”という仕事をしてくれているのがこの天秤なんです。

この引き上げるという作業がなされないと

このように生地の裏にもじゃもじゃができてしまうのでかなり重要なパーツなのですが

写真の通りひっかける部分が最大限持ち上げても半分くらいしか見えない状態なので

よく上糸のかけ損ねを起こしやすい部分です。

ミシンによっては両手で糸を摘んでグイッと入れ込まないと入らないようなものもあるので

よーく見ながらかけてみてコツを掴んでいださいね。

家庭用ミシン、上糸のかけ方③針に通す

針を一番上に上げる、糸は前から後ろへ

天秤に上糸をかけてから下に下ろすと、あとは

”プラスチックのボディの下端にある金属パーツ”と”針が上下する機構の上端”の2ヶ所に通せば

ようやく針に辿り着くことができます。(ミシンの機種によって多少異なります)

家庭用ミシンで針に糸を通すときのポイントは

”針を一番上に上げておく” と ”糸は前から後ろへ通す” です。

現在販売されている家庭用コンピューターミシンには、ほとんどの機種で自動糸通し機がついています。

(“現在”といいましたが、20年前に購入したミシンにもすでについていました)

この糸通し機は基本的にミシン針が一番上にあるときにのみ作動します。

レバーを下ろしてスライドさせるとミシン針の後ろから前に細いかぎ針が通ります。

自動糸通し機の横のフックに一旦糸を引っ掛けてから、このかぎ針に糸をかけ

糸通し機を元に戻すと針穴に糸が通る仕組みです。

ミシンに自動糸通し機が付いていない場合やかぎ針が折れるなどして(私のも実は少し曲がってしまってます)

糸通し機が使えない場合は、別売でミシン針専用の糸通しも販売されています。

↓素手ではなかなか糸が通せないので、手縫い以上に必須のアイテムですね↓
↓手縫いでもかぎ針タイプの糸通しが使いたいなら↓
↑針金タイプの従来品よりすんなりいく方も多いかも↑

下糸クイック機能で簡単セット

上糸のセットが終わった、次は下糸を引き上げますが

最近の家庭用コンピューターミシンではこの下糸の引き上げが不要なものも多いんです。

”下糸クイック機能”と呼ばれていることが多いのですが

下糸を引き上げなくてもミシンをスタートするだけで勝手に下糸を引き上げて縫い始めてくれます。

ボビンを水平がまに入れた後、印字されたガイド通りに下糸の端を通していきます。

ガイドの最後の部分がカッターになっているものが多く、ここでカットして蓋を閉めれば完了です。

綺麗に仕上げたいなら下糸をしっかり引き上げよう

とても便利な機能ですが、より綺麗に仕上げるためにはあえて使わず

下糸を引き出してから縫い始める方が良い場合もあるんです。

下糸クイック機能を使うと、縫い始めの3目ほどの裏側の糸がぐちゃっと絡まってしまうんです。

これは各ミシンメーカーもHP等で説明しているのですが、機械の仕組み上仕方ないとのこと。

裏側の3目ほどなので見えない箇所はこのままで問題ありませんが

気になる時は従来通り下糸をしっかり引き上げてから縫い始めるのがおすすめです。

左手で針穴を通った後の上糸を持ち

右手でプーリーと呼ばれる右側面にある大きなダイアルを手前に回します(プーリーは逆回し禁止です)

針が針板の中に入りもう一度一番上まで上がると、上糸に引っかかった下糸が顔を出すかと思いますので

これを左手に持った上糸ごと押さえの後ろまでずらしていきます。

しっかり下糸の糸端まで出てきたら、上糸と下糸を揃えて押さえの後ろに流しておきましょう。

これで家庭用ミシンの上糸かけが完了しました。

上糸かけの間offにしていた電源はここで入れましょう。

大きなミシン糸を使うときにはこれをプラス

工業用ミシン糸も糸の構造は同じ!

ただし家庭用ミシンの上糸立てには入らないので専用アイテムできちんと糸の通り道を作ってあげましょう!

大巻きの長いミシン糸を家庭用ミシンで使う時の工夫について詳しく>>>

[まとめ]難しい?家庭用ミシン、上糸のかけ方はこれでマスター

今回はあっちこっち通さなければいけない、難しいと思ってしまいがちな

家庭用ミシンの上糸のかけ方をじっくり解説しました。

下糸に水平がまを使用した現在主流の家庭用コンピューターミシンの場合

ミシンの糸調子は上糸でのみ調整する仕組みになっているので、上糸かけはとっても重要な作業です。

”適切なテンションをかける”というイメージをしっかり持ってやってみてくださいね。

このほかにも家庭用ミシンで”縫うの前”に大切なポイントをそれぞれしっかり解説しています。

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