ミシンの糸調子とは、上糸と下糸の引っ張り合う力のバランスのことです。
糸調子が正しく設定されていると、上下の糸が生地の真ん中で均等に絡み安定した縫い目ができます。
糸調子が合わないと、縫い目がゆるくなったり糸が絡まったり布がよれたりしてしまいます。
これが
糸調子が合っている状態、
上糸が強くて下糸が弱い状態、
上糸が弱くて下糸が強い状態。
では実際に「ダイヤルをどちらにどのくらい回せばいいのか」それが問題ですよね。
家庭用コンピューターミシンを20年近く使い続けている私も、よく考えないとわかりません(汗)
そこでミシンに直接貼る早見表を作りました!
早見表は最後にご紹介しますね。
この記事では、糸調子とは何なのか、糸調子の調節方法
また糸調子を調節しても直らない時に考えられることについて解説します。
家庭科レベルで簡単リメイク服では
・おうちにある家庭用コンピューターミシン(手縫いのみのリメイクもあり)
・小学校の時に揃えた裁縫セット でできる
本当に着られる”家庭科レベル”のリメイク服の作り方や洋服のお直し方法をご紹介しています。
ミシンの”糸調子”って何?合わないとどうなる?
ミシンが”糸調子”つまり糸の圧を調節する方法
糸調子とは、上糸と下糸の引っ張り合う力〜テンション〜のバランスのこと。
ミシンは、上糸と下糸を絡ませて縫い目を作り出します。
このバランスがうまく取れていると
上下の糸が生地の真ん中で均等に絡まり、きれいで安定した縫い目が作られます。
では、家庭用コンピューターミシンではどのようにして糸のテンションを調整しているのでしょうか?
ポイントは”上糸のみに調節機能がついている”という点です。
ミシンの上部にある糸は、いくつかの金属部品を通りながら針穴へと導かれます。
この金属部品の一部に”テンションディスク”と呼ばれる、糸の通過する強さを調整する装置があります。
糸調子ダイヤルを回すとテンションディスクの締め具合が変わり、上糸のかかり具合を調整できるのです。
一方下糸は、ボビンの入った水平釜のわずかな抵抗だけで針穴まで送られるため基本的には調整できません。
つまり家庭用コンピューターミシンでは
”上糸が強すぎる” ”上糸がちょうど良いテンション” ”上糸が弱すぎる”という状態をそれぞれ
”上糸が強い” ”糸調子が釣り合っている” ”下糸が強い”と呼んでいるんですね。
[合わない状態]上糸が”強く”下糸が”弱い”とは
上糸が強く下糸が弱い状態とは
上糸が強すぎてそれと比べると下糸のテンションが弱いという状態になります。
この時の縫い目を見てみましょう。
上糸は引っ張る力が強すぎて生地の中に潜り込むことができず、ただ生地の上を這っているような状態です。
一方下糸は上糸の力に負けて引っ張られます。
本来生地の厚みの中心で止まるはずの下糸が生地の表まで出てきてしまいます。
生地の裏側から見るときちんとした縫い目のように見えますが
表から見ると生地の上を這う上糸の上にポツポツと点線のように下糸が見えてしまっています。
この状態では過剰に上に出た下糸のトンネルの中を上糸が簡単に動いてしまうので
生地にギャザーがよってしまったり、上糸がスルッと抜けて縫い目が解けてしまいます。
[合わない状態]上糸が”弱く”下糸が”強い”とは
上糸が弱く下糸の方が強い状態では、先ほどとは逆の現象が起こります。
上糸が弱すぎてそれと比べると下糸のテンションが強いという状態になります。
この時の縫い目を見てみましょう。
上糸が弱すぎてそれと比べると下糸のテンションが強いという状態になります。
上糸は引っ張る力が弱すぎて、生地の中に必要以上に深く潜り込みます。
本来生地の厚みの中心で止まるはずの上糸ですが生地の裏まで出てきてしまいます。
一方下糸は引っ張る力が強すぎて生地の中に潜り込まず、ただ生地の裏を這っているような状態です。
生地の表側から見るときちんとした縫い目のように見えますが
裏から見ると生地の上を這う下糸の上にポツポツと点線のように上糸が見えてしまっています。
この場合も上糸で出来たトンネルの中を下糸がスルッと通ってしまうので
ギャザーがよったり縫い目が解ける原因になります。
ミシンの糸調子の正しい合わせ方!どっちに回す?
家庭用コンピューターミシンなら基本的に自動調節
現在の家庭用コンピューターミシンは、ほとんどの機種で糸調子の調節は”自動”となっています。
上糸をかける途中の箇所にダイアルがありますが
そのダイアルのちょうど真ん中あたりの”自動”という位置にセットしておけば
大抵の場合ただ糸をかけるだけできちんとした糸調子で縫うことができます。
(もしくは標準などミシンの機種によって名称は異なります)
ただ、絶対に勝手に調節してくれるわけではなく
例えば特に分厚い生地や特に薄い生地、針と糸をあえて生地の厚みに対して適切でないものにしているなど
様々な理由で想定されているものと異なるテンションが掛かることによって糸調子がずれてしまい
手動による調整が必要になることがあります。
上糸が強く下糸が弱い時は
上糸が強く下糸が弱い時は、数字を小さくしましょう!
糸調子ダイヤルの数字は、大きいほど上糸が強く小さいほど弱くなります。
上糸が強い場合は、数字を小さくして上糸を弱めることで
相対的に下糸を強くすることができ、結果的に糸調子を釣り合わせることができます。
いきなり大きく数字を変えるのではなく、一度に1〜2目盛りずつ変えるのがおすすめです。
試し縫いをして、表と裏の縫い目が同じように綺麗になれば糸調子が合っています。
少し数字を小さくしても表から下糸が見える状態が変わらないなら、もっと数字を小さく
逆に今度は裏側に上糸が見えるようになってしまったら、ほんの少し元のメモリの方へ戻します。
上糸が弱く下糸が強い時は
上糸が弱く下糸が強い時は、数字を大きくしましょう!
糸調子ダイヤルの数字は、大きいほど上糸が強く小さいほど弱くなります。
上糸が弱い場合は、数字を大きくして上糸を強めることで
相対的に下糸を弱くすることができ、結果的に糸調子を釣り合わせることができます。
いきなり大きく数字を変えるのではなく、一度に1〜2目盛りずつ変えるのがおすすめです。
試し縫いをして、表と裏の縫い目が同じように綺麗になれば糸調子が合っています。
少し数字を大きくしても裏からから上糸が見える状態が変わらないなら、もっと数字を大きく
逆に今度は表側に下糸が見えるようになってしまったら、ほんの少し元のメモリの方へ戻します。
糸調子を調節しても縫い目が狂う・・・考えられる原因
糸調子のダイアルをあれこれ動かしても狂ったままの糸調子は
意外なところが原因の可能性もあります。
縫い目の裏側の糸がもじゃもじゃ・・・
一見きちんと縫えたように見えても、裏返すと糸がもじゃもじゃ・・・
見た目のインパクトが大きいので「故障?!」と焦りがちですが、実はよくあるトラブルです。
この場合意外と簡単なポイントの見直しで、すぐに改善することができます。
そもそもこの下にもじゃもじゃ〜と出ている糸は”下糸ではなく上糸”なんです。
上糸が弱く下糸が強い状態の時、生地の裏に点々のように出てきていた上糸が
更に下まで垂れ下がってしまっているのが、このもじゃもじゃの正体です。
ダイアルで調節できる以上に上糸が弱くなってしまっているのが原因なのですが
これはほとんどの場合上糸の掛け損ねによって起こります。
上糸の通し方通りに進んでいくと針の上げ下げに連動して動くフックが見え隠れします。
これは天秤というパーツで
一番上に上げた状態でもフックの半分くらいしか顔を出さないので、掛け損ねが起きやすい箇所です。
この天秤で一目ごとに上糸を引き上げる作業がなされないことで、生地の裏側にもじゃもじゃが発生します。
一度上糸を全て取り除き、もう一度きちんと上糸をかけ直しましょう。
また、他にも単に上糸のダイアルが一番弱い”0”になっていたり
内釜と呼ばれる下糸を巻いたボビンを納める箇所が、きちんとはまらずにガタガタしてたり
なんてことも原因として考えられます。
縫っている途中で上糸が切れる
上糸が強すぎるのかなぁと思いがちですが、こちらも意外と簡単なことが原因なことが多いです。
ミシン糸の糸巻きの切れ目に糸が引っかかってしまっている場合
使わない時に糸を留めておくこの切れ目が糸の進む方を向いていると
使っている間に糸が切れ目に入り込み、それ以上進めない上糸は切れてしまいます。
ミシン糸は比較的丈夫な作りをしていますが、外側から少しずつ削れていけばやがて切れてしまいます。
古いミシン針は摩耗によって目には見えないギザギザができている場合があります。
このギザギザにひっかかることによって糸が切れることもあります。
また、このように大きなミシン糸の場合引っ掛かりが強すぎて糸が切れることもあります。
糸自体は家庭用ミシンでも問題なく使えますので、たっぷり使えてとっても便利なのですが
このような大きな糸専用の糸縦を使用するなどの工夫が必要です。
水平釜が原因の場合
ボビンの入っている水平釜にゴミが入っていたり傷がついていたりする場合も糸が切れることがあります。
ホコリを払ったり小さなゴミをブロワー等で取り除くことはお家でもできますが
それ以上のメンテナンスはミシン専門店に修理を依頼しましょう。
糸自体が古い場合
糸自体がとても古い場合、見た目には変わらないように見えてもとても切れやすくなっています。
どんなに小さな糸巻きでも200mはあるミシン糸なので、もったいないかもしれませんが
あまりにも古い糸は使わないようにしましょう。
下糸がボビンごと引っ張られる
家庭用コンピューターミシンの糸調子は上糸でのみ調節しますが
下糸の巻き方が原因で糸調子が狂ってしまうこともあります。
下糸を売っている状態のミシン糸と同じくらいぴっちりと緩みなく巻くことを前提として
ミシンは作られています。
ゆるい巻き方のままミシンを動かすと本来拾う下糸以外の糸まで一緒に拾ってしまい
上糸も下糸も生地もすべて巻き込んで絡まって、ミシンが止まってしまうこともあります。
こうなると取り除くのは非常に厄介です。
ですのでこのように緩く巻いてしまった場合は、緩く巻いたこのボビンを上糸の位置にセットして
別のボビンに巻き取ることで、きちんとしたテンションで巻き直しましょう。
ミシンの糸調子をあえて”合わない”状態で縫うことも⁈
ここまで糸調子をきちんと釣り合わせることの大切さをお伝えしてきましたが
あえて糸調子をずらすことで良い効果をもたらす場合もあるんです。
あえてズラすことで家庭用コンピューターミシンでもニットが縫える!
まず1つ目は家庭用コンピューターミシンで伸びるニット生地を縫う時です。
あえて上糸の糸調子を弱くし生地の裏に上糸のトンネルを作ります。
そのトンネルの中にゴムのように伸縮するウーリーロックレジロン糸を下糸として入れることで
家庭用コンピューターミシンでも伸びるニット生地を扱うことが可能になります。
この方法は下糸にゴムカタン糸を使用したシャーリング加工をする場合も同じです。
長〜いギャザーを寄せる時にも大活躍
プリンセス好きに大人気のフリルスカートですが
たっぷりギャザーを寄せる時に使うのが”粗(あら)ミシン”です。
通常より1目が大きな縫い目でざっくり縫うことで、キューッとギャザーを寄せやすい縫い目になります。
さらに上糸が強く下糸が弱い状態にすることで
巾着袋を閉めるように上糸をキューっと引っ張って絞ることができます。
[まとめ]ミシンの糸調子が合わない時はどっちに回す?
今回はミシンの糸調子が合わない時、ダイアルをどっちに回せば良いか、詳しく解説しました。
ここで
上糸が強く下糸が弱い時には数字を小さく
上糸が弱く下糸が強い時には数字を大きく
が、なかなか覚えられない私とあなたのための特別ツールを公開します。
ダイアルの上用と下用がセットになっているので
切り取ってお使いのミシンの余白に合う方をお使いください。
こちらをお家のミシンのダイアル近くに貼っておけば、いちいち検索しなくても一目瞭然です!
ミシン作業って縫う順番や生地の裏表など考えること沢山で、頭がいっぱいになってしまいますよね?
頭の外に出しておける情報は出しておくのが、スムーズに丁寧に作品を仕上げるコツです。
他にも家庭科レベルで簡単リメイク服では
”知らなくても動かせちゃうけど知っておいた方がいいミシンのコツ”を沢山ご紹介しています。
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